自分の構造を知るとは、どういうことか
自己理解は、強みと弱みのリストではない。素質・状態・関係性・フェイズが重なった自分の配置を知ることが、判断の起点になる。
「自己理解を深めましょう」という言葉は、あらゆる場所で言われる。ビジネス書でも、コーチングの場でも、採用面接でも。そのたびに、ストレングスファインダーやMBTI、エニアグラムといった診断ツールが参照される。
それ自体を否定するつもりはない。ただ、こういう経験はないだろうか。
診断を受けた。タイプが分かった。「なるほど、自分はこういう人間か」と思った。しかし、しばらくするとその結果を日常で活かせているかというと、よく分からない。
タイプを知ることと、自分の構造を知ることは、別のことだ。
静的なラベルとして自分を知ることの問題
診断ツールが出力するのは、ある断面における傾向のスナップショットだ。「あなたはこういう人です」というラベルを貼る作業に近い。
そのラベルが的を射ているとしても、問題は、人間が静的ではないということにある。
同じ人間でも、体力が落ちているとき、大きな変化の直前にいるとき、信頼できるパートナーと組んでいるとき、孤立した状況に置かれているとき、機能のしかたはまったく異なる。「INFJです」「ストレングスは〇〇です」と言える人と、それを実際の場面で活かせる人のあいだには、自分の状態や文脈への解像度に大きな差がある。
ラベルを知ることと、自分の配置を知ることは、別の問いだ。
構造として自分を知るとはどういうことか
Humanomyが「構造」と呼ぶとき、それは複数の層が重なった配置のことを指している。
一層目は、素質だ。生まれつきの傾向、変わりにくい気質の核。努力で矯正できるものではなく、活かすか、活かさないかの問いになる部分。
二層目は、状態だ。今のコンディション、人生のフェイズ、エネルギーの向き。同じ素質を持つ人間でも、立ち上げ期にいる人と、安定期にいる人とでは、機能のしかたが違う。
三層目は、経験と解釈だ。過去の経験が作り上げた前提、価値観、判断の癖。「なぜか自分はいつもここで躊躇する」「なぜかこういう局面だけ動けなくなる」という反応の多くは、ここに根拠がある。
四層目は、関係性だ。誰と組むか、どういうチームにいるか、誰に見られているか。人間の機能は、環境との相互作用の中にある。孤立すると輝く人もいれば、チームの中でしか力を発揮できない人もいる。
自分の構造を知るとは、この四層を重ねた配置として、今の自分を把握することだ。
構造を知ることで何が変わるか
「なぜここで機能しないのか」という問いの立て方が変わる。
構造として見ていなければ、「自分が弱いから」「努力が足りないから」という方向に向かいやすい。しかし構造として見れば、別の問いが立つ。今の状態は、自分の素質が機能しやすい状況か。今の関係性の配置に、何かズレはないか。過去の経験から引き継いでいる前提が、今の判断を狭めていないか。
自己否定ではなく、構造の問いとして扱えるようになる。これは、精神論的な話ではない。判断の質が変わる、という話だ。
採用・パートナー選択・組織設計においても同様だ。自分の構造を知っている経営者は、「誰と組むか」の判断が変わる。自分に何が欠けているかではなく、自分の構造とどういう構造が組み合わさると機能するか、という問いで考えられるようになる。
最後に
Humanomyでは、個人の構造を多層的に読み解き、一枚の図として可視化するパーソナルプロファイリングを提供している。また、自分で自分の構造を読む力を身につけるための構造理解プログラム(研修・コーチング)も用意している。
診断の結果を知ることで止まらず、自分の配置を知り、それを判断に使えるようになること。その入口として、エグゼクティブコーチングも一つの選択肢になる。